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おいしく 楽しく 「食べること」
2005年に「食育基本法」が制定されて10年経過しました。これは、「食」をめぐる環境の変化に対して、生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育む食育を推進することで、文化的な生活と豊かで活力のある社会の実現を目的として制定されました。
2007年には、日本歯科医師会から「食育推進宣言」がおこなわれ、食は命の源であり、人は食物を「口」から摂りこみ、十分に咀嚼することによって身体の栄養のみならず五感を通した味わいや寛ぎなどの心の栄養を得ることができます。また、食物の知識と「食べ方」を通して健全な心身の糧となり、豊かな人間性を育むことが可能となることでしょう。
「食育」という言葉は広く浸透し、「食」に対する人々の意識は高まっています。日常生活の中でも大きな楽しみでもあり、役割でもある「食」についておいしく楽しく食べるにはどのような支援をすればいいかご紹介していきたいと思います。
まず、最初に「食べ方」に注目し支援のポイントを考えていきたいと思います。
ポイント①食べようとする意欲
「おなかが空く」から“食べたい”という意欲が湧くのが食行動の基本です。
そのため、生活のリズムや食習慣が重要な情報となる。例えば、だらだら食べしている場合、原因は生活環境か?口の機能か?と原因を考えることが問題解決の第一歩となる。
ポイント②食べるときの姿勢
食事には、平均30分前後の時間がかかり、食べる機能を十分に発揮するには、姿勢がとても大切である。特に乳幼児と高齢者は、食事の姿勢が大きく影響する。
足底をしっかり床につけ、膝・股関節をほぼ直角に曲げ、上体を伸ばして首を少し前屈し、卓上の食物がみえるような姿勢が基本となる。
ポイント③適切な「食事の選択」と「一口量」「食べるペース」
十分咀嚼して味わう食べ方をするためには、適切な食具の選択と一口量、口の中にある食べ物をよく咀嚼して飲み込むペースを考えることが大切である。
ポイント④呼吸との協調(口唇を閉じ、鼻呼吸下での接触)
口唇をしっかり閉じて鼻呼吸しながら食べることで、咀嚼した食物が口腔前提に落ちることなく、連続した咀嚼が可能となり、食物からの香りも感じやすく、味わいが倍加する
。
ポイント⑤咀嚼(咀嚼回数、左右咬み)
食物は、咀嚼によって粉砕され、唾液と混ぜ合わされ、食塊となり飲み込みやすくなる。十分咀嚼することで、食物から味物質やにおい物質が唾液中に溶け出して、味覚や嗅覚が刺激され、風味やおいしさを味わうこともできる。
ポイント⑥食物の種類と調理形態
口腔の機能が発達途上である乳幼児や、乳歯列から永久歯列へ生えかわる学齢期の小児、そして口腔機能が衰退していく高齢者に対しては本人の口腔機能の程度にあわせた食物の物性(固さ、大きさ、粘ちょう性など)となるよう調理で対応したり、食品自体を選択することが必要になる。
次に、ライフステージ別に考えていくと、乳幼児期、学童期の小児、成人、高齢者の大きく4つに分けられます。食べ方に注目すると、乳幼児期と学童期の小児が食べ方を育てるステージ(五感を育てる咀嚼習慣の育成)、成人が食べ方で健康を維持するステージ(生活習慣予防)、高齢者が食べ方で活力を維持するステージ(口腔機能向上と誤嚥や窒息の予防)に分けられます。今回は乳幼児期、学童期の小児の支援について説明します。
食べ方を育てるステージ(五感を育てる咀嚼習慣の育成)
①乳幼児:離乳食や幼児食を通して口腔機能を育む時期です。
②学童期の小児:永久歯の生えかわりを通して、咀嚼を中心とした食べる機能を育む